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ここ数日、あれだけ暑かった夏の勢いが薄れ、 秋の気配が風のにおいに、空の輝きの中にひそんでいるよう。 そんな東京よりも、ひと足早く秋の訪れを感じているのが、軽井沢。 2005年の開業以来、話題となっているのが「星のや 軽井沢」。 実は母の故郷が長野・小諸。 1914年から営業を続けている星野温泉には、子供の頃に何度か行ったこともあり、 ちょっと懐かしい思いがあります。 でも、今回、初めて訪れてビックリ。 すっかりリゾートとして生まれ変わり、新しい日本の宿のスタンダードとホスピタリティを感じさせ、心からくつろがせていただきました。 客室はとても独創的。 今回は「水波の部屋」に滞在しましたが、個人的には、落ち着いた空間の2階にある「山路地の部屋」が好きかな。 艶っぽい軽井沢の緑が目の前に広がり、 まるで風景画のような山並みを愛でることができます。 家紋をアレンジしたパッケージを使ったアメニティもすてき。 こういうさり気ない「和」のテイストは大切にしたいですね。 メインダイニング「嘉助(かすけ)」は、デザイン性のあるレストラン。 大きく取られた窓の外には、棚田のようなあしらいの庭園の眺望。 四季おりおりの風情を感じさせる料理にも、細やかな愛情が注がれています。 また、誰でも利用できる温泉「トンボの湯」の隣には、 カジュアルなダイニング施設「村民食堂」も。 星野リゾートが作る、クラフトビール「よなよなエール」と共に野趣あふれるメニューが楽しめます。 客室や、ダイニング、ゲスト専用のライブラリーなど、リゾートのどこにいても、 美しい軽井沢の自然を感じさせてくれるのが、ここの魅力。 また、嬉しいのが、スタッフの自然体の接客。 ホテルのプロフェッショナリズムとは異なる、日本人ならではの思いやりと気配りのあるサービスは心温まります。 はにかんだ笑顔を見せてくれるのも、初々しい。 のびやかなムードが感じられるのは、きっと良いチームワークがあってのことでしょう。 「星のや 軽井沢」に滞在したら、絶対、参加したいのがオプションのエコツアー。 まずは、手軽なところでネイチャーウォッチング。 インタープリターと呼ばれる自然環境、野生動植物の生態を熟知したスタッフが同行、彼らの解説を聞きながら、リゾート周辺を散策します。 自然界の壮大なライフサイクル、愛らしい動物たちの行動など、 ほんのちょっと知識を得ただけで、目の前に広がる森林が驚くほど饒舌にさまざまなことを語りかけてくる喜び。 とはいえ、「星のや」のすごいところは実は、見えない部分にあります。 「星のや」は、全消費エネルギーの約75%を自給自足する、エコリゾートです。 今や「ブーム」でもあるエコロジーですが、 星野温泉では、初代の高いこころざしのもと、なんと1929年に水力発電所を私財を投じて設営。それは今も、リゾートの敷地内でひっそりと、でもパワフルに活躍しています。エコを考慮した施設、オペレーションを行うホテルやリゾートは国内外に数多くありますが、これだけ背骨がしっかりと、ブレない姿勢で運営されるエコリゾートはなかなかありません。 敷地内にはこの水力発電所も含め、地熱を使ったエネルギー供給システムや、冷房の室外機からの排熱を回収した給湯・暖房装置などユニークで興味深い設備が点在。 専任スタッフには、これもまた豊富な知識と持続可能なリゾート運営に静かなるパッションを持ったM氏がいます。 最近は、工場見学などもちょっとした人気のよう。 温泉大国、日本の地熱エネルギーのポテンシャルは高く、こんなにシンプルなシステムがなんと多くのパワーを生み出すことか。 本当に感動します。 施設見学ツアーは現在、ありませんが、学者然としたM氏の解説を聞きながらのツアー、個人的にはぜひ、行ってもらいたいと思っています。 「星のや」は、海外からのお客も多く、 滞在中も、韓国人カップルが楽しげに「嘉助」の日本食ディナーを写真に撮ったりしながら味わっていました。 バイリンガルの従業員を配しているので、接客にも問題ありません。 外国人にも愛される、新しい日本のリゾートの魅力。 東京から新幹線でおよそ1時間で体感する、別世界。 「星のや 軽井沢」にはそれが、凝縮されています。
by naoko_terada
| 2008-08-22 00:10
| トラベル
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Trackback(1)
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Comments(8)
Tracked
from http://nagan..
at 2008-08-27 11:24
タイトル : 軽井沢白糸の滝
野辺山から信濃川上駅へより道して、臼田の山中のパラボナへ遠回りしてからやってきたのが、今回の目的地軽井沢です。 夕方近くになってしまったのですが、さすが信州1、2位の観光地だけあって込み合っていました。 まずは、行ったことのなかった白糸の滝へと向かった ... more
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iemei at 2008-08-27 03:06
naoko様、ごぶさたしておりますm(..)m いいな~(ウットリ あこがれの宿です♪ いつか泊まってみたいです!
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naoko_terada at 2008-08-29 00:18
iemeiサマ
こんばんは。 ご無沙汰してます。 お元気ですか~? 最近はどのあたりで美食を楽しんでいらっしゃるのでしょうか。 「星のや」。やはり気になりますよね。 スパもなかなかに良かったです。 ぜひ、一度、滞在してみてくださいませ!
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naoko_terada at 2008-08-29 20:09
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naoko_terada at 2008-08-31 02:43
山路純平サマ
「星のや」は客室タイプもいろいろとあります。 すばらしい温泉にスパもありますから、たっぷり2泊をお薦めしますよ。 時期、曜日によってはかなりお得な場合もありますから。 楽しんでくださいませ。
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neco5959 at 2008-09-06 00:06
私も先週軽井沢に行ってきました。
星のやは、なかなか手が出ませんが、こういうふうに、書かれると、やっぱりいつかは、ぜひ!って思っちゃいますね。 星野リゾートは、ショッピングモールも作るとのことですし、 ますます、ここのエリアは目が離せなくなりますね。 http://www.nikkei.co.jp/news/tento/20080808AT1S0400405082008.html
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naoko_terada at 2008-09-11 09:24
neco5959サマ
こんにちは。 コメントありがとうございます。 軽井沢も昔の風情とは旅行者も、住人も少しずつ変わってきているようですね。新幹線でもわずか1時間ほど。 もっと通いたいと思いました。 星のや、これから秋~冬にかけてこもるのも良さそうです。 真冬の満天の星空はすばらしいことでしょう。 どうぞ、お出かけくださいませ。
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筆者のプロフィール
寺田直子(てらだなおこ)
トラベルジャーナリスト。旅歴30年。訪れた国は90ヶ国超え。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで紀行文、旅情報などを執筆。独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口には定評あり。日本の観光活性化にも尽力。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)」、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。 問い合わせメール happytraveldays@aol.com インスタグラム Happy Travel Days 寺田直子 ツイッター ブログパーツ
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