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先日のユネスコの世界遺産会議で、新たに22ケ所の遺産が登録されました。 その中には、日本の石見銀山遺跡も。 アジアで初めて、近代産業化に成功した日本にはすばらしい産業遺産が残っています。 その価値が国際的に認められたことは嬉しい限りです。 そして、わたしの大好きなオーストラリアからも。 なんと、シドニーのオペラハウスが文化遺産に! 今年2月に取材をして、そのすばらしさを実感してきたばかりなので、 感動もひとしお。 この独創的なデザインをしたのは、意外にもデンマーク人建築家、 ヨーン・ウッツオン。彼がわずか39歳のとき。 後に、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞しています。 建築監督に就任した彼は建築家として細部に徹底的にこだわり、やがてシドニー州政府との確執が。 そして工事の途中で、監督職を辞し、母国デンマークへ戻ります。 以来、ウッツオンはオーストラリアに一度も戻っていません。 ウッツオンがオーストラリアを去ってから7年後、 1973年にオペラハウスは完成しました。 今回、世界遺産に選ばれた理由は、その独創的な建築デザインと、それを可能にした技術力にあります。 ウッツオンは建物の基盤を、メキシコ・マヤ文明チチェン・イツァ遺跡の土台を参考に設計。また、世界で最もユニークといわれる貝殻のような屋根は、球形をパーツに切り離したものをパズルのように組み変えることによって均一の曲線を生み出すことに成功しています。こういった工法の片鱗は、オペラハウス内部に入るとよくわかります。 屋根には100万枚以上のスウェーデン製のタイルが使用され、自浄作用があるため洗浄をする必要がありません。 シドニーに行かれた多くの方が、オペラハウスの前で記念写真を撮ったことと思います。でも、シドニーのオペラハウスのすばらしさは内部にこそ隠されています。 日本人ガイドによる見学ツアーがあり、歴史、建築方法などこの新しい世界遺産の奥深さを知るいい機会です。 また、席が空いていれば館内にあるボックスオフィスで当日のコンサートやオペラ、バレエなどのチケットを手に入れることもできます。インターネットのオンラインでの事前予約も可能です。 2月に訪れた際は、日本からオンライン予約をしてオペラ「フィガロの結婚」を鑑賞。 開演前には暮れゆくシドニー湾を見ながら、ロビーでスパークリングワイン。 対岸には豪華客船「飛鳥」のシルエットも。 ヨーロッパとはまた違う、開放感のある真夏の夜のオペラを満喫しました。 世界でただひとつ、海上のオペラハウスは存在そのものがドラマチック。 ぜひ、それを実感してみてください。
by naoko_terada
| 2007-07-03 18:01
| トラベル
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Comments(14)
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daniella
at 2007-07-04 02:18
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私もオペラハウスの登録を知り、嬉しく思っておりました!
私はモーツァルトのコンサートを、ボックスオフィスで購入して 潜入しました。夕方から始まったコンサート、休憩時間にテラスに 出れば、暮れ行くハーバーに美しくライトアップされたブリッジ。 あの当時は、まだまだコムスメでしたが、雰囲気に打たれて、 慌ててスパークリングを買い求めましたっけ。笑 演目よりも前のシートにいたおじいさんとおばあさんが手を握り合って その指先でリズムを奏でながら肩寄せあって音楽に耳を傾けている 姿がと~っても穏やかで素敵な光景として心に残っています。
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hiyoko
at 2007-07-04 11:03
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オペラハウス。
私が行った頃はまだまだピカピカの新品でした。(笑) 芸術に関心のないグループ旅行で、私の希望は叶えられず、記念撮影だけで終わり。 いつかは中に入ってみたいですー。 石見銀山遺跡も、「いつかは行ってみたい場所」の仲間入りをしました。
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naoko_terada at 2007-07-05 02:18
daniellaサマ
そう、休憩時間が楽しいのですよねー。 臨時のバーカウンターができて。 すぐ目の前のフォーシーズンズがオフィシャルホテルなのです。プレシアターメニューを用意しているのでそれをいただいた後に、サーキュラーキーを横切り、シドニー湾の潮風を受けながら歩いてオペラハウスへ。 なんとも贅沢な時間です。
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naoko_terada at 2007-07-05 02:22
突然、お邪魔します。日本のメディアでは石見銀山ばかりが報道され、オペラハウスが世界遺産になったことはほとんど報道されません。知らない方の方が多いかもしれません。
自称豪キチとしては残念でしようがありません。 オペラハウスをバックに写真をとった人はたくさんいらっしゃることと思いますが、誰もが喜ばれていることでしょう。
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naoko_terada at 2007-07-07 13:07
豪州新聞小社サマ
はじめまして。 コメントありがとうございます。 でも、ちょっと意外な気もしましたよね。これでNSW州にはブルーマウンテンズとオペラハウス、ふたつの世界遺産が誕生。どちらも観光客でも非常に行きやすいのが魅力。 嬉しいことです。
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s-mon
at 2007-07-09 11:01
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美文調のオペラハウスの稿をワクワクして拝見。
OGブログでNTさんに定番のシドニーの写真をTBしたのがご縁です。 鯔サン(たらとよむのか?食べたことは無い。タラフク試食したい) ハッピーです。羨望。シーザー・当方も誕生月。 タラさんのブログハお見事。酒エーを飲みたい。上品な味fだろうか? パスポートは何冊目ですか。 コメントの記入のスペース・文字共に小さすぎます。ご配慮を
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koharu827 at 2007-07-11 08:23
おようようございます~
世界遺産のNEWS、TVで観ました~♪ だけど、新たに22ケ所の遺産が登録!というのは今知りました~。。。 石見銀山は、実家から2時間のところです。 シドニーのオペラハウス、あの形は1度見ると忘れないですよね~。写真でしか見たことがないけれど。笑 シドニーといえば・・・この風景。 デンマーク人建築家だったんですか~なるほど~。 >屋根には100万枚以上のスウェーデン製のタイルが使用され、自浄作用があるため洗浄をする必要がありません。 ・・・すごいすごい!! 驚き! 2枚目の写真、中の様子を見たのははじめてかもしれません! 素敵!
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nas-asa at 2007-07-11 16:16
ごぶさたしてます!
残念ながらオーストラリアもオペラハウスも行ったことがないんですが、友人のだんなさん(オーストラリア人)がここで音響の仕事をしてたような。あと、このデンマーク人の建築家って、今バルセロナに近いマヨルカ島に住んでらっしゃるみたいですね。伊東豊雄さんが遊びに行ったとおっしゃってましたが、最初誰の事かわからず、シドニーオペラハウスを建てた人!と言われてしまいました。断崖絶壁の波がかかりそうな場所に建ってるそうです。最近、アジアのリゾートが非常に懐かしいので、寺田さんのオシャレな情報いつも楽しみにしてます。
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naoko_terada at 2007-07-14 18:26
s-monサマ
こんにちは。 鯔サンは、「ぼら」と読みます。 お誕生日、おめでとうございます。 コメントの記入スペース、文字の大きさは公式ブログとして決められております。すみません、ご了承くださいませ。
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naoko_terada at 2007-07-14 18:28
koharuサマ
そう、内部を見た方は少ないと思います。 みなさん記念写真を外から撮っておしまいだと思いますが、日本語の見学ツアーがあるのでぜひ、参加してもらいたいものです。 世界遺産になった意味がじっくりとわかるはずです。 また、コンサート、バレエ、オペラも日本よりもお得。 夜景がすばらしいロマンチックなレストランもあるのですよ!
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naoko_terada at 2007-07-14 18:31
nas-asaサマ
ご無沙汰しております! お元気ですか? そうです、ヨーン・ウッツオン氏はマヨルカ島に住んでいらっしゃいます。1966年にオペラハウスの建築監督を辞してからは一度もオーストラリアには行っていらっしゃいません。かなり高齢との理由で。でも、オーストラリア勲章、名誉博士号などを授与されたオーストラリアが誇る名士です。 アジアンリゾート。 おまかせください!
オーストラリアには言ったことありませんが、オペラハウスの屋根の写真は、有名で雑誌などでよく見ますね。内側ははじめてです。コンサートやオペラみたいですね。こんな素晴らしいホールで、一度は言ってみたい外国です。
建築した人がデンマークの人なんですね。デンマークにはいったことがあるんです。デンマークの旅行を思い出しました。そこの人なんだって・・・、
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naoko_terada at 2007-07-23 04:23
nagisaサマ
私が初めて訪れた国がデンマークでした。 おだやかで美しい風景が印象的な国ですね。 オーストラリアもぜひ、訪ねてくださいませ。 シドニーのオペラハウスでコンサートやオペラを堪能するのも楽しいですよ。
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筆者のプロフィール
寺田直子(てらだなおこ)
トラベルジャーナリスト。旅歴30年。訪れた国は90ヶ国超え。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで紀行文、旅情報などを執筆。独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口には定評あり。日本の観光活性化にも尽力。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)」、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。 問い合わせメール happytraveldays@aol.com インスタグラム Happy Travel Days 寺田直子 ツイッター ブログパーツ
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