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3年前、バリ島でテロによる爆破事件があった際、 わたしは、自分がプロデュースするバリのガイドブック制作の真っ最中だった。 あと少しで、形になり書店に並ぶという段階でのできことだった。 爆破現場となったクラブやレストランも掲載物件のなかに入っていたため、 内容は差し替えとなり、発行も遅れた。 余分な手間や時間がかかったなどということはどうでもよかった。 それよりも、取材のカメラに向かって笑顔で写る 店のスタッフたちの写真を紙面から削除するときに感じた、やるせない気持ち。 この中に犠牲となった子たちがいるのか、と思ったときの哀しみと怒り。 それはずっと心に残っている。 そして、爆破事件後から2ヶ月後、 視察のために訪れたバリは閑散とし、日本人の姿もほとんど見られない そんな状況だった。 写真はその際に撮った、クタの爆発現場。 今では壮麗なモニュメントが立っているが、当時はまだ爆発のすごさを物語るまま。 地元のバリニーズの祈りの跡、 犠牲となった人たちの家族、友人が置いた花が残っているだけだった。 真っ白な垂れ幕に書かれていたのは、 We love Bali そして、さまざまな人たちが残した愛する人へのメッセージだった。 今回も大勢の犠牲者がでた。 7月のロンドンの爆破事件の際もそうだったが、 テロという行為への怒り、憤りは限りなく深く、強い。 でも、わたしはこの怒りを誰かに向けたりはしない。 それによって解決することはないから。 今は静かにバリに想いをはせ、悲しみをわかちあうだけだ。
by naoko_terada
| 2005-10-03 16:15
| その他
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Comments(16)
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amamori120 at 2005-10-03 17:32
次女夫婦が新婚旅行でバリを訪れたのは、恰も3年前の事件のホンの少し前のことでした。
だから今回の事件にもショックを受けました。 誰に、この怒りをぶつければいいのか?
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私がバリを訪れたのは去年の夏の終わりごろです。
その前後からバリを愛する人たちともネットで知り合いましたが、 みなさん一様に怒りというより、バリのこれからのことを心配しています。 ようやく3年前のテロから観光客ももどり、落ち着いてきたのに・・・
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typeB-plus
at 2005-10-03 22:12
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naoko_terada at 2005-10-04 14:05
amamori120サマ
3年前のテロの後、 バリのある人はこう言っていました。 「テロリストを憎むことはしません。その想いはカルマ(業)となって、 自分に戻ってくるから」と。 怒りの連鎖はどこかで断ち切らなければ、 いつまでも続いていくのでしょうね。
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naoko_terada at 2005-10-04 14:07
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naoko_terada at 2005-10-04 14:13
typeb-plusサマ
人の命よりも大切なものなどない、そう、思うのですがね。 自分の命も含めて。 犯行現場は、どちらも観光客、地元の人たちが幸せな時間を 過ごす場所です。 彼らの人生を奪う権利は誰にもありません。
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seabreezecafe at 2005-10-05 19:48
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carambola at 2005-10-06 14:11
まさに一ヶ月ほど前に行ったジンバランのBBQCafeが
今回のテロの現場になりました… あの時コミュニケーションを取ったスタッフや 陽気な音楽を奏でていたカルテット, 幻想的なキャンドルの光が揺らぐビーチは どうなってしまったのでしょう. 私のブログに,アルバムに収められている人々や場所が 傷つけられたかと思うと,何とも言葉が出てこなくて ただただ鼻の奥がツンッ…と痛くなります. 自分たちの願望を押しつけるが為に無関係な人々に危害を加える. そんなことがあっていいわけ無いのです. バカヤロウ!と叫びたいです.
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naoko_terada at 2005-10-06 18:58
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naoko_terada at 2005-10-06 18:59
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naoko_terada at 2005-10-06 19:05
carambolaサマ
ジンバランで犠牲になったインドネシア人の女性は、 旅行関係で働く日本人のご主人と一緒にいた方です。 わたしの友人の知り合い、というとても身近な存在でした。 あのゆるやかで美しい時間、場所で テロという行為を行えることが理解できない。 なぜ、テロを行う側であって、テーブルを囲む幸せな人々の側の 人間でいられないのか。
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Goa
at 2005-10-06 21:43
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テロという卑劣な手段を決して許すわけには参りません。
でも、9.11の時には心のどこかで快哉を叫んでしまったのは私だけでしょうか。 幸せな人々の側に立てば、ついついセンチメンタルになります。 身内に該当者がいれば、涙も流れますし、バカヤロウとさけびたくなります。 でもそのことが次のテロの芽になっているかもしれません。 幸せ側の人たちは、幸せであり続けるために、貧しくて不幸な人たちを痛め続けなければ、自分たちの幸せはつかめないのではないでしょうか。 豊かな大地で暮らしていた人々が、いきなり土地を奪われ、人権を奪われてきました。今も続いています。幸せ側がもっと豊かになるために。 私たちの意識を変えない限り、このことはず~と続きます。 テロが無くなることはありません。 そんな思いを懐にしまって旅をしたいですね。 初めまして。ですが、失礼を申し上げました。 旅行記を楽しみにしております。今日初めて拝見しましたが。楽しい旅行記でした。 有り難うございます。
スリランカはじめ津波被害の地域 については、
かなり設備・対策が進んできている今、 「また観光に行こうよ! それが復興への協力だから。 困った時は、お互い様だよー」と思えますが、 このように、気をつけようのない被害が度重なって起こってしまうと、 「ここの方々とどんな助け合いをしたらいいんだろう??」と 考え込んでしまいます。 次回のお写経でも、世界の平和を祈る ・・・ということしか思いつきません。
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naoko_terada at 2005-10-08 23:34
Goaサマ
はじめまして。 コメントありがとうございます。 テロという卑劣な手段を決して許すわけには参りません。 これに尽きると思います。 その「許さない」ためには、どういう行為が伴うのか。 制裁か、報復か、それとも教え説くか。 テロがいかに無意味なことかを伝えるには、 どうしたらいいのでしょうね。 バリは今、日本のお盆にあたる時期です。 まだ、地元ではテロの可能性があるとされています。 祖先の霊が戻るこの時期、静かに平和に過ごしたいものです。
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naoko_terada at 2005-10-08 23:43
stutiyiサマ
そう、被害は被害でも 天災と人災ではまったく異なります。 さすがにテロの危険がある場所へ、「ぜひ、観光へ!」 とは言えません。 でも、「行くな」とも言いたくない・・・。 この世界で危険ではない場所、国などはないのですから。 時期、状況を考えて、バリには戻ってほしいと願います。
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筆者のプロフィール
寺田直子(てらだなおこ)
トラベルジャーナリスト。旅歴30年。訪れた国は90ヶ国超え。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで紀行文、旅情報などを執筆。独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口には定評あり。日本の観光活性化にも尽力。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)」、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。 問い合わせメール happytraveldays@aol.com インスタグラム Happy Travel Days 寺田直子 ツイッター ブログパーツ
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