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80歳で旅だった叔父を見送った日。 出棺前、喪主の叔母が、こう、話出した。 わたしたちは会社で知り合いました。 おとうさんは九州生まれ、わたしは長野。 優しい人がいるなぁ、と思っていたある日。 「W(叔父の名前)さん、わたしは長野の寒い場所で育ったので、ミカンがなるところを見たことがありません」 そう、話しかけました。 そうすると、おとうさんが、 「Aさん、僕はリンゴがなるところを見たことがありません」 そうやっておつきあいが始まり、結婚しました。 とっても幸せで、3人のかわいい男の子に恵まれ、今では3人のかわいいお嫁さんに、4人の孫もいます。 2年半前、主人が倒れました。 その兆候になんで気づかなかったのだろうと、自責の念にかられます。 お医者さまには、病院で介護治療をするように言われましたが、 自分で設計して建てた家で、ぜひ介護をしたいと、自宅にひきとりました。 それからは「チームW」と呼んでいましたが、 子供たち、孫、周囲の人たちの献身的な協力もあり、ここまでがんばってくれました。 最後は大きく息をついて、 わたしの腕まくらの中、駆けつけた長男に見守られながら、静かにゆっくりと旅立ちました。 おとうさん、わたしも、もうちょっとでそっちに行きますが、 そのときはわたしを探してみつけてくださいね。 そして、また、おとうさんのお嫁さんにしてくださいね。 おとうさん、ありがとう。 ミカンの木がリンゴと再び、来世で出会えることを信じて。 心より合掌
by naoko_terada
| 2011-12-14 03:31
| その他
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Comments(2)
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マナブ
at 2011-12-15 07:14
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「生まれ変わったらまた妻(夫)と結婚したい」と言う人を見るたび、ああこんな幸せ者はいないよなぁと思ってしまいます。ああ、朝から目頭が熱くなった。
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naoko_terada at 2011-12-15 23:39
マナブちゃん
ベターハーフという言葉があるけれど、もともと一心同体(のよう)なふたりが出会って添い遂げることの奇跡ですね。 マナブちゃんもこれからでも遅くないんじゃないの? 見つけてみてください♪
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筆者のプロフィール
寺田直子(てらだなおこ)
トラベルジャーナリスト。旅歴30年。訪れた国は90ヶ国超え。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで紀行文、旅情報などを執筆。独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口には定評あり。日本の観光活性化にも尽力。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)」、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。 問い合わせメール happytraveldays@aol.com インスタグラム Happy Travel Days 寺田直子 ツイッター ブログパーツ
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