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また、いつか。
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わたしには自分に課した約束がありました。

それは、「親よりも先に死なないこと」

結婚もせずフリーランスとして自由に生きている中で最低限、守らなくてはならない子供としての責任だと思ってきました。

今年、父が逝き、その約束が果たされました(母はだいぶ前に亡くなっています)。
両親がいなくなることは寂しいことですが、どこかホッとしているところもあります。子供たちや孫、ひ孫、さらに親せきのみんなから愛され、晩年はちょっとつらそうでしたが好きなことをやって過ごしてきた父の人生は悪くなかったと思っています。一緒に旅行にも行き、大好きなお酒も酌み交わしました。

今はただ、感謝の言葉があるのみです。


育ててもらっていた頃は早く大人になり、自立して家を出ることばかり考えていました。

近所の友達の家に遊びに行くときも、アルバイトに出かけるときも母は玄関で靴をはくわたしの背中に向かって、「早く帰っていらっしゃい」と必ず言うのですが、それが本当に鬱陶しかった。
旅ライターとなり取材に行くときでも、それは変わりませんでした。毎回かけられるその言葉に返事すらせず、私は玄関を出ていきました。


数年前、学生4人を連れてヨーロッパへ行く仕事がありました。
ちょうどテロの影響があった時期で、若い学生たちが自分たちの計画したスケジュールで行動をするのを見守っていましたが、毎日、夜になって彼らがホテルに戻ってきたときどれほど安堵したことか。
このとき初めて気づきました。母の毎回の「早く帰っていらっしゃい」の言葉の意味が。

それは、「無事に帰っていらっしゃい」だったのだと。

子供が新しい経験を重ねて成長をしていくことに喜びを感じると同時に、世界を広めていく彼らが「事故にあわないか」「何かに巻き込まれないだろうか」と一瞬たりとも思わない親はいないのだと。父も母も20代で家だけでなく日本も飛び出して海外生活を始めたわたしのことをどれほど心配したことか。50ちかくになってやっとそれを理解したわたしは愚かすぎます。


母がいなくなってからは父と二人で年末年始を迎えてきました。今年は人生初、ひとりでの日本の年越しを迎えることになります。これはこれで気ままに、飄々と過ごしていくことになりそうです。

2016年、私の約束は成就しました。
これからは自分に残された時間で、自分自身のために、さらに多くの人たちから託されたと思っていることを今以上に形にしていくことが新しい約束だと思っています。
そして、続いていくであろう旅から無事に帰ってくることも忘れずに、心に刻みます。
「早く帰っていらっしゃい」の言葉を胸に。

お父さん、お母さん。
ありがとう。
また、いつか。
甘えるときまで。

少しだけ、さようなら。
by naoko_terada | 2016-12-31 00:03 | その他 | Trackback | Comments(4)





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