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竹芝桟橋から高速ジェット船で1時間45分。伊豆七島で最も都心に近い伊豆大島。 千葉県と同様に先日の台風15号の被害を大きく受けました。このほか伊豆七島では新島、式根島も被害がありましたが、現在は伊豆大島も他島もライフラインは復旧。観光施設もごく一部を除き通常営業をはじめています。 以前から大島が好きで通っていました。 島内に暮らす友人たちも多く、島の状況を知りたく9月中旬にたずねてきたときのことをつづります。 ちなみに来年1月24日まで東海汽船が創立130周年記念として通常より最大約62%オフの伊豆大島往復きっぷ を販売中なのでかなりお得です。 また、東京都の助成による8000円で1万円分の電子マネーが利用できるしまぽ も活用度大です。 伊豆大島観光。結果からお伝えするとまったくもって問題ありません。 被害の大きかった南部は窓ガラスが割れ、屋根や瓦が飛んだりした店舗や家屋もありましたし、島をぐるりとまわる一周道路も山沿いの道は枝が落ちていたりといった様子は見られましたが、観光で行っても問題ないレベル。いつもどおりの島時間がゆるやかに流れています。現在、利用できないのは波浮(はぶ)にある「旧港屋旅館(踊り子の里資料館)」、 「旧甚の丸邸」と「トウシキキャンプ場」、それに三原山に向かう道路「御神火スカイライン」。ホテルや旅館、民宿、飲食関係も大半は通常営業を行っています。 展望スポットからはみごとな姿を見ることができました。いつもと同じのびやかさ。山頂までは展望台からならば1時間弱。お子さん連れでも登れる気軽さです。 別名「バームクーヘン」。うねるように隆起した地層は島の噴火史と地球の胎動をダイナミックに伝えます。目の前にバス停があるほか、レンタカーを停めるスペースもあるのでゆっくり見学してください。 アクセスと詳細はここ をチェックしてください。 今回の台風15号が最も激しく猛威をふるった島南部の素朴な港町。私が愛してやまない場所です。 そんな波浮にあるのが古民家を活用したカフェと民泊を運営する島京梵天(とうきょうぼんてん)さん。台風直後は少しおやすみしていましたが、今は元気に営業中。 人気はハネ付きたい焼き。アシタバやカスタード、ハムチーズマヨなど味のバリエーションが豊富。私はシンプルに粒あんをチョイス。 地元出身のめちゃくちゃ明るくナイスなKくんがオーナー。人柄のよさもあり海外からのゲストも含めとても評判がよかったのですが、今回の台風で2階の屋根がすべて吹き飛ぶという島内で最も甚大な被害にあってしまいました。最初はぼーぜんとして何も考えることができなかったKくんですが多くの友人、仲間たちの励ましもあり現在、再建を試みています。おまけに同じように屋根や外壁が飛んでしまった昔から馴染んできたお隣の商店も再開することを決断。現在、クラウドファンディングで両方の再建支援を試みています。 ↓ 自分たちのためだけでなく島の活性化、未来のために拠点となる場所を再生する。 それが彼のチャレンジです。 リターンには再開後のペア宿泊券なども含まれています。来年あたり遊びに行きたい、と思っている方などぜひ。どうぞ応援をよろしくお願いします。 椿ガーデンに隣接した大島公園動物園 。ここなんと無料なんです。 にもかかわらず見ごたえありすぎるほどにあるのです!(断言)。とはいってもキリンやゾウやライオンなど花形の動物たちはいません。ラクダ、フラミンゴ、ロバ、ワオキツネザル、ゾウガメといったところ。でも、ここがスゴイのは、 動物たちが人間に近寄ってくるんです! つまり来場者が少ないため、人間が来ると動物のほうが興味津々で見にくるのです。 しかも距離感がめちゃくちゃ近い。そしてじっとこちらを観察するという。今回はお昼ごろに行ったのでちょうどエサをもらっている時間で食事風景を楽しむこともでき、もう幸せ。いつもたっぷり癒されるマイベストスポットです。 ※以前行われていたエサあげは動物保護から禁止になっていました。 台風15号は大きな被害をもたらしました。いまだに復旧・復興でご苦労されている方々も多く元に戻るにはもう少し時間がかかるでしょう。そんな中、日常を取り戻しつつある場所へ観光で訪れることは私たちにできることのひとつだと思っています。楽しんでおいしいモノを食べ、おみやげを買って思い出を刻んで帰る。 まずは伊豆大島から。 私の場合は長年かよってきたこの島から応援をしていこう。 そんな思いをこの記事にこめました。
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by naoko_terada
| 2019-09-25 08:00
| トラベル
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2001年、9月11日にニューヨークで起こった同時多発テロ。 あれから18年経ったのですね。 このことについてはちゃんと書いたことがありませんでした。 この日、母が亡くなりました。 すでに3ヵ月ほど入院をしていて、もう長くないと言われているような状況でした。 私と姉、そして父が毎日病室に泊りがけで付き添っていましたが、この日は姉がその当番。11日、早朝に姉から電話があり心肺が止まった、今、人工呼吸をしてもらっているがどうしよう、と。 電話を受け取った父は、「もういいよ」と姉に告げました。ずっと苦しそうだった母の状態を知っていたので、もうラクにしてあげたいと願ったのでしょう。私と姉も同じ気持ちでした。 ただ、そうすると父が母との最期の別れができない。おそらく父は一瞬、考えたと思います。40年ほど一緒にいた母を看取りたい思いは強くあったはずです。それでも、自分の気持ちよりも母のやすらかな旅立ちを優先したのだと思います。 電話を切り、私と父は病院へ向かう準備をして自宅を出ました。 この日は台風が近づいていたと記憶しているのですが、非常に雨風が強く、タクシーを呼び出してもまったく空きがありませんでした。しかたなく駅まで歩いていき、駅前のタクシー乗り場で待つことにしましたがいつもなら数台、客待ちをしている車の姿が一台もない。私たちの前には同僚らしい背広姿の男性2名が待っていました。この時点で父はもう心ここにあらずでまったく無反応。 かなり待ってからやっと一台のタクシーがすうっと車寄せに入ってきました。 私はムリを承知で私たちの前にいた男性2名に、母が亡くなり隣駅の病院まで行きたいこと、もし可能であればゆずっていただけないか、とお願いしました。男性お二人は心よくタクシーを譲ってくれました。あの後、どれほど次の車を待ったのかを思うと申し訳ない気持ちでいっぱいです。お名前を聞くことも失念し、お顔さえも正直、思い出せませんがあのときのお二人には心からの感謝しかありません。 慌ただしく母の葬儀の準備をしている中、ニューヨークのテロ報道が飛び込んできました。ちょうど知り合いが取材で向かっているタイミングもあり、刻々と深刻になるツインタワーの現状にただ言葉なく映像を見ているしかできませんでした。 母の死ということに直面していたからなのか、正直このときの1両日はどこか記憶があいまいで、なんとなくボヤっとしています。ただ、漠然とこれで航空産業や観光産業は終わりかもしれないな、と考えたことをおぼえています。 18年が長いのか、短かかったかは人によるはずです。 私にとっては自分の人生の方向性を間違いなく変えた大きな悲劇でした。その後、アメリカはイラク戦争へと舵を切り、世界の混沌は今も続いています。 写真は2年前にニューヨーク取材の際、訪れたワールドトレードセンター跡地。 悲劇が起きた時刻までまもなく。 亡くなったすべての犠牲者とご家族のみなさまに心からの哀悼を。 そして、母へも。 心やすらかに。
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by naoko_terada
| 2019-09-11 17:49
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なんと1年3ヵ月ぶりのブログ更新です。 みなさん、お元気ですか? 私は相変わらず物書きとして、旅を続けています。 この数年、年齢的(あ、57歳になりました)にいろいろと人生の方向を考える出来事が多く、それにともなって仕事への思いや旅への熱量などもゆるやかに変化してきています。 私はそれを人生の成長だととらえています。 留まることなく前へと進んでいくための変化。 自ら望むというよりも年齢という時間軸が今回は背中を押しています。 このブログを再開するのもそのひとつ。 これから変わっていくであろういろいろなことを記録として残したいのと、誰もがいつかは対峙する「年齢」、「老い」などの課題について私がどう受け止めたのか。何かしらヒントになることがひとつでもあれば、との思いもあります。 もちろん旅の話も欠かせません。 近況報告としては3年前に出した「フランスの美しい村を歩く」が、新しい書籍「増補版 フランスの美しい村を歩く」として10月に出版されます。新たに5つの村の紹介が加わります。6月にはその取材のためにフランスのノルマンディー地方などを訪問。記録的な猛暑を体験しました。また、人生初のレンタカー車のパンクを体験!地方の小さな村からさらに郊外というなんともな場所で遭遇して真っ青になったり。 そのあたりの顛末もそのうち書いていきますね。 ということで、どうぞよろしくお願いいたします。
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by naoko_terada
| 2019-09-01 19:17
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そこはガイドブックなど旅関係の仕事が多く、今の私の原点でもあります。 当時、そこが某ホテルの小冊子の作成を請け負っていました。 ある日、最新版のための取材をまかされることに。 小冊子でホテルのシェフに教わるクッキングレシピのページがあり、その撮影と取材を担当することになったのです。 取材当日、カメラマンと一緒に浦安へ。 迎えてくれたのがホテルの広報担当の女性でした。 キビキビと働く彼女にまだ20代後半のわたしは気おくれするばかり。 撮影のためゲストのいないアイドリングタイムのレストランへ。 シェフにお話しを聞き料理の撮影を行い、とすべて順調。 取材中盤、メモをしっかり書き写すためわたしはレストランのテーブル席に座り、メモを取り始めました。 すると、広報の女性がこう言いました。 「そのテーブルはゲストをお迎えするためにスタッフが一生懸命きれいにセッティングしたものですよ。あなたが使うものではありません」 正確にどう言われたのかは覚えていませんがニュアンスとしてはこんな感じ。 それを聞いてとっさに立ち上がり、「すみません!!」とわたし。 心の中では、「なにこわーーーい。。」 でも今なら痛いほどわかります。 完璧に美しく整えられたテーブルや客室、ベッドにはどれほどの目に見えない裏方のスタッフのみなさんの労力がかかっているか。 当時はホスピタリティなどという言葉も知らないわたしでしたが、それからはホテルでの取材時には撮影で必要でないかぎり何も触らない動かさないということを心がけるようになりました。ベッドに寝たり、ソファに座るなんて言語道断!笑 つけたライトは消す、開けたカーテンはきちんと閉めるなど退出時にもとのままに戻すことを常にこころがけます。きちんとしたホテルは撮影後は再度、清掃をいれますがそれは別問題。取材対象のホテルへの、さらにはスタッフへの敬意をあらわしたいとの思いからです。 あのときわたしを叱ってくださった女性広報の方。お名前も忘れてしまいましたが、最高の広報ウーマンだったこと今ならよくわかります。 最近、ホテルの取材にうかがうと広報担当者はわたしよりも年下ということがほとんど。 そんな彼ら彼女たちに、「今回の取材撮影はよかった!」、そう思ってもらえるようにいたいと思っています。 それもすべてはアナタから。 あのとき叱ってくれたことに、心から感謝しています。 ※写真はロンドンのサヴォイホテル。麗しきモネスイートです。この最高に美しい部屋もベッドメイキングのスタッフたちによって整えられているわけですね。
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by naoko_terada
| 2018-06-06 08:00
| ホテル&リゾート
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今回は久しぶりに商店建築に寄稿。一冊丸ごとホテル特集の巻頭で「ミレニアル世代が牽引する”ライフスタイルホテル”」というタイトルで最近、急速に広まってきている「ライフスタイルホテル」をひもといています。表紙は繊細な演出が施されているシャングリ・ラ・シンガポールのレセプション。本当に美しい。 それにしても内容充実。厳選した国内外の最新ホテルを網羅していますが、何がすごい、というか楽しいかというとホテルごとに客室やメイン施設の図面が紹介されていること。一般誌のホテル特集がソフトのサービス面などをメインに紹介するのに比べ、もうぐぐっとハード&スペック寄り。さすが建築のプロのための専門誌です。 デザイナー、建築家がどういった思い、コンセプトで空間を組み立てたのか。無機質な図面から有機的な立体空間、さらにはそこに宿っているホテルの哲学、アーティストの美学を読み取ることのなんと楽しいことでしょうか。 それにしても泊まりたくなる新しいホテルが日本にも増えました。 この一冊を参考に建築的視点でホテルを見るのも楽しいですよ。
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by naoko_terada
| 2018-06-04 08:00
| 掲載メディア
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筆者のプロフィール
寺田直子(てらだなおこ)
トラベルジャーナリスト。旅歴30年。訪れた国は90ヶ国超え。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで紀行文、旅情報などを執筆。独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口には定評あり。日本の観光活性化にも尽力。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)」、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。 問い合わせメール happytraveldays@aol.com インスタグラム Happy Travel Days 寺田直子 ツイッター ブログパーツ
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