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台風が連続して上陸した北海道。冠水などで多数の農業被害が出ています。 北海道だけではなく、日本各地でも大小さまざまな形で。 先日、台風9号が過ぎた直後。 成田空港から東京へ戻るN'EXの車窓からは強風でねこそぎ倒れた稲と田んぼが続き、痛々しかった。刈り取る間際のたわわに実った姿が余計にやるせない。千葉では過去10年なかった被害とのことです。 春、田んぼに水がはられ、田植え。 若々しいグリーンの早苗からしっかりと成長した姿を見せる盛夏。 そして、黄金色に首をたれる稲刈りの季節。 空港へ向かう際、四季折々の日本の田園風景はわたしはもちろん車内にいる海外からのお客様たちをも感動させるものでした。 それゆえに、延々と続く稲の倒伏は涙が出るほどつらかった。 農作物の被害は当然、価格高騰や品不足による生活・ビジネスへのしわ寄せを生みます。 何よりも手塩にかけて育ててきた生産者に甚大な影響をもたらします。 ここ数年、地方を旅することが増え、全国で生産地・生産者のみなさんのもとを訪問する機会も増えました。 昨年10月、青森を訪れたときのこと。 収穫直前の真っ赤なリンゴが実るあたり一面の畑を見るのは圧巻でした。 リンゴは太陽の光を受けることで赤くなっていきます。まんべんなく果皮を赤くするために根本に銀色の反射シートを敷くなど、手間ひまがかかっています。また、受粉・摘果など多くの作業が手仕事です。 青森で採れたてのリンゴをむいて食べさせてもらったとき、今まで食べてきたものとこんなに味が違うのかと驚愕したほど。 それほどみずみずしくおいしかった。 そんな訪問直前に県内を爆弾低気圧が発生、多数のリンゴが落下。キズもの、腐るなどの被害が出ました。こうなるとジュースやジャムなどの加工品にしか使えず、買い取り価格は極端に落ちます。 どんなにやるせないことか。 岩木山をのぞむ、弘前のりんご公園を訪れた際、下に落ちているリンゴをひとつひとつ丁寧にひろっている作業員の方の姿が印象的でした。生活の糧であるのはもちろん、大切に育ててきたこどものような存在なのかもしれません。 米作でも、リンゴでもワイン造りでも、もちろん漁業も。私たちのもとに届く美味しく高品質な食べ物はすべて生産者のみなさんの多くの労働と情熱が支え、生み出したもの。現場でそれを見ることで、食卓にのぼる料理、あるいはスーパーで手にする野菜や果物や魚を適正価格で買う意味、ムダなくきちんといただくことの大切さをじんわりと感じるようになりました。 それ依頼、消費者として意識を持って選び取ることをこころがけています。 値段の背景にある手間ひまを思い出しながら。 「食育」とはこどもたちだけのものではなく、実は大人にこそ必要なことかもしれません。
by naoko_terada
| 2016-09-06 12:04
| 日本
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筆者のプロフィール
寺田直子(てらだなおこ)
トラベルジャーナリスト。旅歴30年。訪れた国は90ヶ国超え。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで紀行文、旅情報などを執筆。独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口には定評あり。日本の観光活性化にも尽力。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)」、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。 問い合わせメール happytraveldays@aol.com インスタグラム Happy Travel Days 寺田直子 ツイッター ブログパーツ
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