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星のや 京都 ガストロノミ 「究極の食中酒スクール」と、春を感じる会席ディナーを
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およそ2年ぶりに、星のや京都へ。

2009年12月に開業して、早4年め。
開業前の人材育成、建物や庭園の施工ができる過程、京都という土地での取り組みなどをずっと、見てきただけに、愛着のある宿のひとつです。

渡月橋から、専用船で嵐山の冬景色を眺めながらのアプローチも、すでに定番。
用意してくれた湯たんぽで暖を取りながら、宿へとチェックイン。

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開業直後よりも、庭園がなじんできたのは、京都の老舗、加藤造園さんが丹念に手入れを続けているから。宿泊の翌日も、早朝から職人さんが来ていらっしゃいました。

新しいこころみとして、空中茶室と呼ぶ空間ができていました。
暖かくなったら、ここでお茶や、お食事を楽しめるということです。目の前の桜が満開になるのも間もなくでしょう。


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客室は「月橋」のツイン。
エントランスから最も近いコーナーの部屋で、眼下の船着き場が望める星のや京都のなかでも一番、ライブ感を堪能できる部屋だと思っています。
寝室の窓からは、大堰川のせせらぎと嵐峡のみごとな景観を心ゆくまで楽しむことができます。この日はかなり寒かったのですが、床暖房がされているので足元からぬくぬく。雪を期待していたのですが、まったくなく。代わりに冬枯れの嵐山を時間を忘れて眺めます。

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夕方、お茶をいただきにラウンジ横の和室に。
ちょうど旧正月だったため、中国からのお客様も多く、品のよい美しい英語を話される中国人ご夫妻と一緒に一服。毎年のように日本に来ていらっしゃるということでした。

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お茶をいただき、会話を楽しんでいるうちに、ゆっくりと暮れゆく嵐山。

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食事の前に、現在、行われている「星のや ガストロノミ 究極の食中酒スクール」に参加。京都伏見をはじめ、厳選した日本酒をさまざまな角度から味わい、風味、味の変化を楽しむという趣向です。

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グラス、温度を変えて味わう。
あるいは、口なおしの豆腐などを味わいながら、口中での変化を感じる。
驚いたのはグラス、猪口の形によって味わいがまったく変わること。ワインと一緒に、日本酒の楽しみ方も幅広いのだと教えていただきました。

教えてくれるのは、熱血レストランマネージャーHさん。お酒に対する知識、情熱は抜群。とても、楽しいスクールでした。


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そして、夜はとっぷりと。
今宵のディナーへとダイニングへ向かいます。

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如月のお献立。
実は今回の目的は、代わられた久保田一郎料理長のお料理を頂戴すること。
ご実家は京都祇園の割烹「八寸」。京都の会席料理を会得したのち、フランスで修行、ロンドンの日本料理店「Umi」ではミシュランの星も獲得されたインターナショナルな感性をお持ちの料理人。
星のや京都も念願のミシュラン一つ星も獲得されたので、どのようなものが登場するか、とても楽しみにしてきました。

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夕食もガストロノミの続き。
料理にあわせた厳選した日本酒づくし。グラス、温度などもひとつづつ変化させながら登場します。これは、食前酒としての一杯。
京都伏見で最も古い歴史を持つ増田徳兵衛商店の、稼ぎ頭。
透明感があり、適度な酸味と果実味のようなさわやかさは、まるで白ワインのよう。まさに、食前酒としては最適です。「雪冷え」と表される5~8℃の温度でサーヴされます。

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見た目も鮮やかな先付。
羽二重蒸し 小松菜鶯餡仕立て。
中には焼き餅、フカヒレ、ウニ、タピオカが入っています。
小松菜のさわやかな味わいに、餅、フカヒレ、タピオカなど異なる食感が楽しい。

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八寸は、「仲春の肴核」と題し、
小鮨 卯の花あえ、手綱巻き、黒豆
もろこ木の芽焼き、菜種子塗し、蟹松風、苺フォアグラ射込み、ひとくち稲荷。

春の訪れをほのかに喚起させる、目にもあでやかな彩りの数々。

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お伴は、七本槍 玉栄 純米吟醸 垂れ口直汲生原酒。
垂れ口と呼ばれる口から極力、空気に触れさせないように一本づつ直汲みされたもの。
きめ細かいガスを含んだ、淡麗でキレのある味わい。
八寸のあれこれを、ゆっくりと楽しみながら、お酒をひとくち。
嬉しい余韻にひたります。

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向付は、久保田料理長のシグネチャー的な存在、
瞬間スモークの醒ヶ井(さめがい)鱒とキャビア、千社唐(ちしゃとう)、ブリーニのカーペット。

これは、フレンチ風の一品でしょうか。
スモーキーなトラウトはねっとりと。キャビアのはじける食感と、じゃがいもを使ったブリーニの甘み、シャッキリとした千社唐と、テクスチュアの妙がうれしい。
先ほどの七本槍のクリーンな味わいが、さらに風味を広げてくれます。


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お椀は、京都らしく。
鯛蕪清汁仕立て、鶯菜、黄柚子。

滋味を感じさせる、おいしいお椀です。きっちりこういった仕事がされているところに、久保田料理長の軸が日本料理にある、ということ感じます。


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焼き物は、フグ!
今年のシーズンもそろそろ終わりですね。
たっぷりと厚めにひいたフグを炭火で、チリリとあぶります。
ふふ、おいしい。

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炊き合わせも、久保田料理長の真骨頂。
海老芋白煮、静家特製巻き湯葉、蕗、金時人参、針柚子、糸花鰹。

この炊き合わせは、しみじみと味わい深く、おいしいひと皿でした。
先ほどのお椀同様に、日本料理の原点といえるもの。
これがあるから、コースの中でさまざまな遊び、演出があっても、きちんと日本料理であることを伝えることができるのだと思います。

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お酒は、猪口もあらたに、さきほどテイスティングで味わった無為信にチェンジ。
有機栽培の五百万石を60%まで精米した、特別純米酒。
日本酒用の米というと、山田錦が有名ですが、それに負けじと生産者たちが守り、作り続けているのが五百万石。山田錦とは異なる個性を際だてつつも繊細な料理の味わいを邪魔せず、スルリと喉へと流れる端正さ。


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さて、食事もそろそろフィナーレ。
強肴は、牛フィレステーキと春菊と百合根のグラタン。

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これにあわせるのは、藤井酒造の宝寿。生一本特別純米酒。
タンクで一年熟成させ、搾ったあとは無濾過なため、日本酒本来の色味をおびています。
ちろりは、熱が逃げないようにポータブルな卓上保温スタイル。
猪口に移し、少しずつ、上燗から、ぬる燗、さらにひと肌燗へと温度が変わっていくごとに風味が変わるのを慈しむように、焼きたてのステーキと共にゆっくりと味わいます。

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御飯は、半兵衛特製生麩と白葱ののっけ丼、粉山椒、木の芽、在所漬け。
関東だと、白飯に赤だし、香の物となるのでしょうが、これもまた京都らしいところ。甘辛い汁と粉山椒のスパイスさで、胃の腑の最後のスペースにスルリと落ちます。
ふ~、満足、満腹。


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そして、こちらは別腹。水菓子として、パティシエの新メニューという果実のパルフェとパッションフルーツのソルベ、チョコレートのクベルクルのせを頂戴します。果実、パッションフルーツの酸味が口中をさっぱりと覚醒してくれます。



今回、このお料理をいただき、星のや京都の方向性のようなものが僭越ながら、わかったように思いました。久保田料理長が奏でる料理は、日本料理としての支点はゆるぎないものの、より新しい表現を試みたものではないのかと。そこには、海外ゲストの嗜好にアピールする要素がちりばめられているように感じました。

伝統的な懐石(会席)料理を京都で味わいたいのであれば、数多くの名店、老舗があります。お宿もしかり。
星のや京都が目指すべきは、京都での新しい日本料理の体験であり、和の心を持ったインターナショナルなラグジュアリーリゾートとしての存在なのだと、あらためて思った次第です。

料理も宿も、今までにも時代ごとに変わってきました。

日本の持つ観光のポテンシャル、可能性を海外に向けて広げることは経済効果的にも大切ですし、星のや京都によって京都の新しい滞在スタイルが生まれたことは旅する人たちにとっては歓迎すべきこと。

まだまだスタッフも若く、学ぶことは多々ありますが、一歩づつ、京都にとってかけがえのない宿として成長してくれることを心から願っています。

わたしとして、もっとラジカルに、もっとリージョナルに。
「これぞ、星のや京都イズム!」、と思わせるような個性と魅力を見せてくれるようになること、
楽しみにしながら、次回の訪問を夢みています。



ありがとうございます。
ごちそうさまでした。


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by naoko_terada | 2013-03-09 00:56 | ホテル&リゾート | Trackback | Comments(0)
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