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copyright(C) Le Fotographe Remise de prix du Bocuse dor2013 1月25日に日本を出発して、昨日まで。 フランス観光開発機構による、多国籍チームでのローヌ・アルプ地方のグルメ取材ツアーに参加してきました。とにかく、パワフルな各国のジャーナリスト、フードブロガーと朝から真夜中まで食べて飲んでという内容。楽しい反面、体力勝負。。。 毎日、その日のことをブログでご報告しようと思っていたのですが、ホテルに戻るのが真夜中の3時近く、などということもあり。 ということで、追って少しずつ、記事にしていこうと思います。 その第一弾としてまずは、こちら! とっても長いです。 すみません。 フランス料理界において最も権威のある「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」にて、軽井沢ホテルブレストンコート「ユカワタン」の総料理長、浜田統之シェフが日本人初の表彰台となる銅賞を獲得しました! 2005年も挑戦していますので、2回目での快挙。 浜田シェフの料理のファンとしては、本当にうれしく、心から感動させていただきました。 コンテストは2グループに分かれて1月29日、30日の2日にわたって開催。 早朝8時から1番目の国が料理スタート、その後、10分刻みで次の国がスタートして、テーマである肉と魚料理、3種類のガルニチュール(付け合わせ)を作り、審査員にプレゼンと試食を行ってもらいます。 その間、5時間35分。 シェフの腕とプライドをかけた挑戦が行われます。 以下はボキューズ・ドール日本の公式フェイスブックからの引用です。 肉・・・アイルランド産の牛フィレ、肩、頬、テール 魚・・・ラベル・ルージュ認定のフランス産ヒラメ、ヨーロピアンブルー・オマール 今年から新ルールが加わり、魚のテーマ食材の発表は6ヶ月前から2ヶ月前へと短縮され、魚課題に含まれる3種類のつけあわせのうち1種類は自国特有のもの、残り2種類は大会前日に会場内に設置される市場「五大陸のマルシェ」から素材を調達し、その場でレシピを作成し発表しなければなりません。 肉・魚課題とも、合計28人前を5時間半の調理時間の中で作り、味、プレゼンテーション、自国の特長、独自性を基準に評価されます。 29日は順番に ・アイルランド ・スウェーデン ・シンガポール ・中国 ・ブラジル ・モロッコ ・オランダ ・フィンランド ・カナダ ・ベルギー ・メキシコ ・ガテマラ 30日が ・デンマーク ・スリランカ ・エストニア(唯一の女性シェフ!) ・オーストラリア ・イタリア ・スイス ・フランス ・イギリス ・アメリカ ・ノルウェー ・ハンガリー ・日本 ポイントは100点満点で、24人の審査員が採点。 内容は、味が40点、プレゼンテーションが20点、母国のオリジナル性が20点で計80点。 これに、クッキング審査員というシステムが加わり、食材を無駄にしないということに5点、清潔さに5点、チームワークに5点、そして魚料理がレシピ通りかというところに5点の計20点が審査されます。 30日の午前中、仕込みの段階時のみメディアはシェフたちの目の前まで撮影の許可がされました。 各国、シェフのほかにコミと呼ばれるアシスタント、そしてコーチがつきます。 日本は浜田シェフに加えて、コーチにロミュアルド・ファスネ氏。本人もオーベルジュのシェフであるファスネ氏は3回連続、日本チームのコーチを務めてきている日本人の感性、考え方を熟知した頼もしい方。日本の日の丸の腕章が泣かせてくれます。 そして、コミはのっぽの坂下くん。 こちらは、今回、みごと優勝したフランスのティボー・ルッジェリ氏。 若干、32歳。 今回、私たちも訪れたローヌ・アルプ地方ムジェーヴ出身で、ルノートルで活躍する精鋭。大会にあたりルノートル料理学校を拠点に、フランス料理界の重鎮たちが彼をコーチングしてきたようです。 前回は1位デンマーク、2位スウェーデン、3位ノルウェーと北欧勢が圧勝し、フランス優勝は2007年以来途絶えているので、今年はかなり本気で狙ってきていました。 日本とは僅差12点で銀賞を獲得したデンマークは、Jeppe Foldager(ジェッペ・フォルダーガーかな?)。わずか27歳。子供の頃からボキューズ・ドールが夢だったという若き北欧のシェフ。いくつものタイマーをセットして望む姿が印象的でした。 料理開始から、各国のスペースにはクッキング審査員が入れ替わり、時間、清潔さ、レシピなどを細かくチェック。これも、シェフにはプレッシャーです。 会場はこんな感じ。 一番、後が各国の応援団席。日本は12番目で、一番奥なので星野リゾート、辻料理学校などからの日本人応援もそこに。中間はご招待のゲストたち。最も手前が我々、プレスのスペース。世界中からのTV、ラジオ、新聞など身長高く、大きな外国人クルーたちとの場所取り合戦は、本当に苦労しました。。。 午前中はまったくゆとりのある様子でしたが、本番、審査発表の際は入場禁止になるほどの混雑ぶりに。さすが、フランス料理のオリンピック、ボキューズ・ドールです。 メディアも大忙し。 審査員や、手の空いていそうなスタッフにインタビュー。 こちらは、私たちも食事をさせてもらった、ムジェーヴのミシュラン3つ星「フロコン・ド・セル」オーナーシェフのエマニュエル・ルノー氏。フランスの審査員として参加です。 クールな表情で仕込みをする浜田シェフ。 2回目のボキューズドール参加なので、緊張よりも、いかに自分本来の料理を表現できるか。そこに集中しているようでした。 午前中の取材セッションが終わり、いったんメディアセンターへ。 こういったイベント、コンベンションなどには必ずメディアセンターがあり、登録されたメディアはインターネット回線、プリンター、オフィシャル画像ダウンロード、各種資料などを利用することができます。さらに、コーヒーや軽食などのサービスもあり、今回はランチ、ワインなどのサービスも。もちろん、無料です。 とはいえ、それをのんびり楽しんでいる人は皆無。 みな、記事を配信し、携帯で話し、コーヒーやバゲットをかきこんでは出入りしています。 ボキューズ・ドールでは各国のポスターが配布され、こちらのコンテストも行われていました。 この中に、日本のポスターと「ベストポスター賞」を獲得した国のポスターがあるのですが、おわかりになりますでしょうか? 午後、審査員へのプレゼンと試食がスタート。 デンマークから順番に。 男女司会の二人がフランス語と英語で盛り上げます。 プレゼンの仕方はこうです。 1番目に登場のデンマーク場合ですと、8時に調理開始、13時に魚料理を終了、13時35分に肉料理を終了して、審査員に見せなければなりません。終了時間から3分までは遅れても許されますが、それ以降はNG。一番最後の浜田シェフは、9時50分スタート、魚料理が14時50分、肉料理が15時25分終了というスケジュールです。 最初のデンマークの周辺は、プレゼン担当のシェフ、サービス、そしてライブ中継するTVクルーなどで騒然。加えて、盛り上げる司会者のMCに、応援チームのかけ声など。臨場感と緊張感で、目の前で見ているわたしたちも興奮してきます。 シェフは料理を14皿分、用意します。 ひと皿は名誉審査員席へ、12皿は12人の審査員へ。さらに、ひと皿はメディア席をまわります。これを狙うカメラ、カメラ、カメラ。 これは、エストニアだったかな。 優勝したフランスの魚料理。 花をあしらい可憐。 とてもキレイな仕上がりに見えました。 タイムリミットとなり、魚、肉料理と各国からプレートが続々と登場しはじめます。もう、こうなるとどれだどの国の料理だかわかりません。後でチェックするとしてメディアはカメラで料理を追います。 プレートで供される肉料理はさすが、の貫録。 このような盛り付けで登場、会場が大歓声で盛り上がります。 これを給仕チームが手際よく、皿に盛りつけて審査員席へ。彼らのチームワーク、仕事ぶりもずっと見ていましたがすばらしかったです。 ところで終始、緊張感漂う会場ですが、個人的にはこういう脇役スタッフのドラマを見守るのが好きです。給仕スタッフに何やらアドバイスしているのはコミッティー役を務めるミシュラン3つ星シェフのレジス・マルコン氏。緊張しながらもフランス料理界を代表するシェフの言葉に熱心に耳を傾ける若い表情。 若い彼らにもボキューズ・ドールでの給仕体験、一流のシェフとの交流は得難い経験のはず。こうやって、サービスの文化が受け継がれていくのだと思います。 こちらも、がんばれ。 7番目、本家本元、フランスの登場時は、一層、会場内が湧き上がります。 フランスの肉料理は、「ベルサイユ2013」というテーマ。 「鏡の間」をイメージしているのでしょうか、ゴールドでまとめた料理はそれはみごと。モダンな雰囲気ですが、バロックでもある。 他の国のプレゼンテーションと比較しても際だって優雅で、美しいものでした。 と、いうところで日本チームのブースに動きが出てきました。 何やら、和な感じのプレートを持った給仕たちが列に。 カメラも手元を狙い始めました。 日本チームのタイムリミットの14時50分をわずかに超えて。。。 「ジャポン!」の声と共に、魚料理が終了。 応援団がいっせいに湧き上がります。 日本チームの応援は80名ほどだったようです。星野リゾートのスタッフ、ブレストンコートの総支配人、さらにボキューズ・ドール日本チームのこちらリヨンでの受け皿となっていた辻料理学校から。また、ロンドンからも関係者が。 そしてこれが、日本チーム、浜田シェフの魚料理。 大根、のり、シイタケなどの食材を使用。料理と共にユズの香りの湯気が会場に広がり、メディアたちからも「おおっ」という声が漏れます。浜田シェフらしい丁寧な仕事がされているように思います。 ※詳細はコチラを参照ください。 ナイフとフォークのほかに、箸も用意され、審査委員のどなたかが箸で食べるところが大画面に。日本食が世界でも認知されてから、どこへ行っても箸を器用に扱う人たちが増えていますが、ボキューズ・ドールで箸が登場とは感慨深いです。 15時を超えて、大会も終盤に。 次々と前のチームが肉料理を仕上げてフィニッシュし始め、今大会、最後のオオトリ、日本の肉料理を待つばかりになってきます。 しかし、審査員も大変です。 12人ずつが、魚と肉料理担当になって24食を試食します。 日本の審査員代表の平松シェフは、「半分は食べるよ」とおっしゃってました。 13時25分。 日本チームのタイムリミットになりましたが、動きがありません。 流れを見ていてこれなら余裕だろうと思っていただけに、心臓がドキリとします。 絞り出すように「浜田」コールをする応援団と、見守るスタッフ。ここにきて、時間制限の壁にはばまれたくはありません。わたしもファインダー越しに胃が痛くなる思いで、見つめます。 がんばれ。 緊迫した時間が過ぎ、15時27分。 ついに日本チームの肉料理がフィニッシュ! 大歓声に包まれての登場です。 泣きそうな思いで、いや、泣いていたかも。ほっとする日本人応援団。 もちろん、わたしもです。 プレゼンされるプレート、なんと、肉を塩釜に入れています。 上にかかっている黄色いのは柚子でしょうか。 塩釜を開けたところで、歓声。 肉はさらに、葉もので包まれ、藁ひもで巻かれています。 これが、ベテラン給仕たちを手こずらせました。 浜田シェフが、サーヴの仕方を伝えます。このとき、シェフみずからは手を出していけません。的確な指示ができるかも大きなポイントです。 審査が終わってしまったシェフの中には、塩釜に興味を持って、さわったりなめたりする人も(笑)。 みな、日本の料理の仕様に興味津々のようでした。 日本チームは一番最後という順番にかけました。 審査員の舌が疲れてくるという反面、うしろに残るチームがいない分、じっくりと味わってもらうことができるからです。吉と出るか、凶と出るか。 日本らしさは保ちつつ守りに入らず、攻めていく。 日本チームのそんな姿勢をずっと今回は感じていました。 なにやら、浜田シェフ、給仕長からOKサインをもらっています。 そして、ガッチリ、握手。 審査員の試食も終わり、ついにボキューズ・ドールが終了。 浜田シェフの挑戦も終わりました。 すべてを終えて、かけよりがっちり抱き合うコーチのファスネ氏。 わたしは、この光景がボキューズ・ドールの中で最も心に残っています。ぐっと固く抱き合ったまま、しばし動かないシェフとコーチ。静かにそこだけ時間が止まったように静謐な瞬間だったように思います。 ぐっと泣きそうになるのをこらえながら、この一瞬を写真におさめます。 チームのブースに戻り、コミの坂下くんとさらに女性のコミと抱擁。 その後、大歓声で声援をしてきた日本の応援団にガッツポーズ。坂下くんはもう、泣いてたようだったな。 目の前でコンテストを見守っていましたが、世界60ヶ国から選ばれた代表24人の精鋭のひとりとして浜田シェフのクールな仕事ぶりとすばらしい戦いぶりに大いに感動し、心ゆさぶられました。そして、コーチをはじめシェフを支えるチームジャパンの健闘ぶりと、シェフとの信頼関係こそ最もすばらしいものだったのではないかと感じています。どの国もすばらしい戦いぶりでしたが、ここまで達成感をもってフィニッシュしたチームはほかにいなかったように思います。 本当にいいものを見せてもらいました。 ボキューズ・ドール・アジア大会を勝ち抜け、このリヨンでの本選出場を決めたのが昨年6月。長く、熱い浜田シェフとチームジャパンの戦いは終了しました。 そして、結果発表へ!
by naoko_terada
| 2013-02-02 02:00
| トラベル
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Comments(0)
Tracked
from フランス美食村
at 2013-02-16 17:54
タイトル : 【Bocuse d'Or】ボキューズ・ドール2013 F..
▼フランス ローヌ・アルプ グルメ旅① ボキューズ・ドールで日本人初の快挙、浜田統之シェフが銅賞獲得! http://naoterada.exblog.jp/19934096 【Bocuse d'Or】フランスが金 la France remporte la compétition ! (フランス) 【Bocuse d'or 2013】NORIYUKI HAMADA 浜田統之シェフ(軽井沢ホテルブレストンコート総料理長) 【Bocuse d'Or】関連記事 【Bocu...... more
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筆者のプロフィール
寺田直子(てらだなおこ)
トラベルジャーナリスト。旅歴30年。訪れた国は90ヶ国超え。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで紀行文、旅情報などを執筆。独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口には定評あり。日本の観光活性化にも尽力。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)」、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。 問い合わせメール happytraveldays@aol.com インスタグラム Happy Travel Days 寺田直子 ツイッター ブログパーツ
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