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この慈悲にあふれた、優しいお顔。 この方は、現タイ国王のお母様。 正式なお名前は、 シーナカリンタラーボーロマラーチャチョナニー様 タイの人の名前は、と~っても長いのです。 でも、省略してシーナカリンタラー王太后とお呼びします。 「ゴールデン・トライアングル」と称され、 非合法の麻薬の栽培エリアであったタイ山岳部の人たちの生活基盤を支えるため、 タイ王家が中心になって行う「ドイトゥン Doi Tung プロジェクト」。 その活動を始めたのが、この方。 1988年のことです。 当時、タイ北部の山岳部ではアヘン栽培が唯一の収入源でした。 栽培するために、森林の木を切り倒し、草木を焼き払い作農。 その結果、森は失われ、水源も枯渇。 貧困のため、麻薬栽培はもちろん人身売買まで行われていました。 そんな現状を知ったシーナカリンタラー王太后は、 ゴールデントライアングルに位置するドイトゥン地区で、「森を作る」と宣言。 植林プロジェクトを開始、 あわせて職業訓練プロジェクトもスタートしました。 麻薬に代わり、生産性の高い農作物を作るスキルを得ることで、 生活水準を安定させる。 植樹により生み出された森林が水源となり、作農をうながす。 さらに、生産した農作物を商品化し、加工することで、 より高い収入を確保する。 人と森が共存しながら発展する。 それが、王太后の願いでした。 4月に訪れた、ここで、 ゴールデントライアングルをめぐるエクスカーションに参加。 「アヘン博物館」を訪れました。 ここは、ドイトゥン・プロジェクトの基盤となる 「財団法人メーファールアン」が運営する施設。 英語名は、Hall of Opium オピウムとは、アヘンけしのこと。 アヘンけしからモルヒネが抽出され、 モルヒネをさらに化学処理することで、ヘロインが生まれます。 このあたりは、この取材のおかげで、知識はばっちりです(笑)。 古代から用いられてきた歴史からはじまり、 アヘン戦争、現在に続く、犯罪、深刻な中毒への警告まで、 資料、展示物、ジオラマなどを使い、驚くほどの内容と充実度。 医療用としての重要性と、人心をむしばむ薬物。 アヘンけしの持つ、光と陰にしばし、考えさせられます。 でも、途中、 麻薬の犠牲となった有名人たちのパネルがあり、 リバー・フェニックス、ジミー・ヘンドリックスなどは、まあ、わかるのですが。 まだ、現役のエリック・クラ〇トンとか、 ロバート・ダウ〇ー・Jrなどの顔写真がしっかり掲載されているのって。。。。 だいじょうぶなのでしょうか(苦笑)。 「アヘン博物館」の一角に、 ドイトゥン・プロジェクトによって誕生した製品を販売するショップがあります。 製品は、コーヒー、ホームウェア、陶器、銀製品などのアクセサリー、 Tシャツ、山岳民族の女性たちによるテキスタイル、漉き紙を使ったレターセットなど。 おみやげに最適なものばかり。 わたしもアレコレと買い込んでしまいました。 なかでも、帰国後、大好評だったのが、 ハーブでミックスされたマカデミア・ナッツ。 レモングラス、ガーリック、カフィールライム・リーフ、ドライド・チリと、 開けた瞬間に、「おお、タイの香り!」 しかも、マカデミアナッツ自体も、甘みと歯ごたえがあり美味しい! 博物館で購入して、ひとつ115バーツ。 約350円。 タイの物価からすれば高めですが、 美味しいし、おみやげに手頃だし、何より、ドイトゥン・プロジェクトに貢献するのですから。 このドイトゥン・プロジェクトの製品は、我々、旅行者も気軽に購入できます。 上の写真はチェンライ空港にあったショップと、 ドイトゥンがタイ国内で展開するコーヒーショップ。 このほか、バンコクのショッピングセンターのひとつ サイアム・ディスカバリー・センターや、 ボン・マルシェ市場、スワンナブーム国際空港などに 直営店「ドイトゥン・ライフスタイル・ショップ」が。 また、バンコクのチャトチャック・マーケットや、 スワンナブーム空港などにコーヒーショップがあります。 シーナカリンタラー王太后は、1995年7月18日の火曜に逝去。 ドイトゥン・プロジェクトは、王太后の意志を継ぎ、 現国王と王妃、そして、王女たちによって「ロイヤル・プロジェクト」として継続。 麻薬撲滅において、平和的問題解決をうながし、 持続可能な開発に最も成功した例として、 製品には国連薬物犯罪事務所(UNODC)認定のラベルが誇らしげに掲げられています。
by naoko_terada
| 2009-06-15 03:54
| トラベル
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Comments(3)
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at 2009-06-15 12:06
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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carambola at 2009-06-16 21:09
チエンライ空港で時々このプロジェクトのグッズを見ていますが
そうか,そういう趣旨のプロジェクトだったのか~. タイの王室のパフォーマンスは非常に分かりやすいものが多いですね. 国民から愛され,尊敬を集めるのも分かります. タイのアヘン博物館は行ったことがないですが ミヤンマーのものへは行ったことがあります. お国柄というか,何というか, 展示がやけに生々しかった想い出があります(^_^;)
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naoko_terada at 2009-06-19 02:58
鯔サマ
アヘン博物館。 ここのも、内容はものすご~く深く、貴重な資料もたっぷりで迫力ありました。でも、内部は撮影禁止なので画像はありません。 タイ王室は、本当に愛されてますよね。 黄色のポロシャツ姿の数の多さでもよくわかります。 次回、渡タイの際はぜひ、ドイトゥン・グッズ、 お買い上げくださいませー。
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筆者のプロフィール
寺田直子(てらだなおこ)
トラベルジャーナリスト。旅歴30年。訪れた国は90ヶ国超え。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで紀行文、旅情報などを執筆。独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口には定評あり。日本の観光活性化にも尽力。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)」、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。 問い合わせメール happytraveldays@aol.com インスタグラム Happy Travel Days 寺田直子 ツイッター ブログパーツ
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